退職に向けた資産準備を考える

日本の老後資金に対する政策提言

日本は世界最長寿国の1つとなっており、国民が100歳まで生きる時代になりつつあります。しかし、現行の医療および福祉に関する各制度は、平均寿命が70歳から80歳程度であることを前提に設計されたままです。日本のリタイアメント市場が抱える資産運用の課題について、ブラックロックの見解と提言をご紹介します。

日本における長期投資促進のための課題

公的年金制度を補完する年金制度の整備を目指し、日本は企業型および個人型確定拠出年金(DC)制度の導入を促進するための制度改革を度々実施してきました。しかし、日本におけるDC加入率は限定的で、平均資産残高も少なく、資産の大半が現金または元本確保型商品に配分され、デキュミュレーション(資産の取崩し)をサポートする運用商品やサービスが不足していることからも、改善の余地は大きいと考えます。さらに、退職後の資金計画をサポートするためのツールの開発が進んでいない点も改善が必要です。

長寿化が進む今こそ、貯蓄・資産運用状況の改善や、より実用的な退職年金制度の実現、そして高齢者雇用の支援における実業界との連携強化に資するべく、議論を深めるべきです。

ブラックロックからの提言

確定拠出年金(DC)制度のさらなる普及・拡大

1. 個⼈型DCの普及を促すため、政府が助成⾦を直接⽀給する、あるいは個⼈の掛け⾦に上乗せするマッチング拠出を⾏う。

2. 企業型DCに対し、オプトアウト(脱退選択)可能な⾃動加⼊⽅式の導⼊を義務化する。

3. 税制優遇措置により、⼩規模企業の複数事業主DC年⾦制度の活⽤を促す、または⼩規模事業主を対象として汎⽤性のあるDCプランを提供する公的な運営機関を設⽴する

拠出限度額の引き上げ

1. 企業型および個⼈型DC制度の掛け⾦の上限を引き上げる。

2. 掛け⾦を固定額ではなく、収⼊に対する⽐率で設定する。

3. 企業型DCにおいて、事業主の掛け⾦額を超える加⼊者のマッチング拠出を可能とする。

4. 企業型DCの掛け⾦を⾃動的に引き上げるシステム(⾃動掛け⾦引上制度)を導⼊する。

5. ⼀定の条件を満たす場合には、60歳未満の加⼊者に対し借⼊れによる資産の引出しを認める。

年齢に応じた資産運用の促進

1. 適格な指定運⽤⽅法(デフォルト商品)として、ターゲット・デート・ファンド(TDF)など特定の商品カテゴリーを規制上明確に例⽰する。

2. DCにおけるオルタナティブ投資の活⽤について、⾦融業界に検討を促す。

3. ⾼齢者による証券市場への投資の妨げとならないよう、投資信託を含む上場株式等について相続税法上の評価額を他の資産と同⽔準に引き下げる。

4. 退職を控えた加⼊者に提⽰される運⽤の選択肢をシンプルにする。

デキュミュレーション(資産の取崩し)に対応する商品の提供

1. 退職⼀時⾦以外の選択肢として、運⽤あるいは保険商品の活⽤を後押しする税制改正を⾏う。

2. 個⼈年⾦保険、定期引出サービス、リバース・モーゲージ等、適切なデキュミュレーション型商品の共同開発を⾦融業界に促す。

3. 取崩し型ファンドの設定時に課題となる、投資信託の会計上の制約を緩和する。

退職後の資金計画に活用できる情報、助言、ツールの拡充

1. 加⼊者の退職後資⾦計画をサポートするため、運営管理機関に対して、貯蓄した資産から想定される退職後収⼊の試算額の提⽰を求める。

2. テクノロジーを駆使した、退職準備に活⽤できるツールの開発を⾦融業界に促す。

高齢者による積極的な社会参加の促進

1. ⾼齢従業員向けに柔軟な雇⽤契約を提供するなど、⾼齢者の社会参加を⽀援する企業の取組みについて⽀援策を拡充する。

2. ⾼齢者の積極的な労働参画を⽀援する企業に対し、税制あるいは政府調達における優遇措置を適⽤する。

※記載内容は、ブラックロック・グループ(以下、ブラックロック)が作成した英語版レポートを基に、ブラックロック・ジャパン株式会社(以下、弊社)が翻訳・編集したものです。記載内容は、情報提供を目的として作成されたものであり、特定の金融商品取引の勧誘を目的とするものではありません。また、ブラックロック・グループの見解、あるいはブラックロック・グループが設定・運用するファンドにおける投資判断と必ずしも一致するものではありません。その他ご注意点に関しては、必ず最終ページをご確認ください。
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投資信託に係るリスクについて
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MKTGM0923A/S-3138061